日本天文学オリンピック
宿泊研修を開催しました

2024/04/23

宿泊研修を開催しました

開催報告

2024年4月20日から4月21日にかけて、平塚市博物館(神奈川県平塚市)にて、第17回国際天⽂学・天体物理学オリンピック (IOAA2024) 日本代表候補を対象とした研修を実施しました。

 

今回の宿泊研修参加者の集合写真

今回の宿泊研修参加者の集合写真

 

集合後、参加者と委員で互いに自己紹介を行いました。また、アイスブレイクとして、チームに分かれてペーパータワーを製作し、その高さを競うゲームを通して親睦を深めました。

まず、委員の早川から、望遠鏡に関する講義が行われました。IOAAの観測試験では、望遠鏡を適切に取り扱うための知識や技能が求められます。この日の研修では、(株)Vixenさまよりお借りした望遠鏡を用いて、さまざまな種類の望遠鏡の組み立て作業を参加者それぞれが実際に体験しました。

 

望遠鏡実習の様子

望遠鏡実習の様子

 

また、前年度のIOAAのチームリーダーであった中道より、IOAAの出題傾向と解答作成の上での注意点などについて講義が行われました。数式を多く用いることで日本語が通じない相手にも伝わる解答をつくることや、日本と海外での数字の「7」の表記法の違いに注意することなど、実際に大会に参加した経験に基づいた実践的なアドバイスを伝えることができました。

この日はさらに、平塚市博物館のプラネタリウムにおいて、委員会相談役の塚田によるプラネタリウム実習も行われました。天文学で用いられるさまざまな座標系をプラネタリウムに投影しながら解説された他、IOAA2024の開催地であるブラジルでの夜空を投影し、日本では見られない南天の星座や天体を判別する上でのポイントが説明されました。

 

プラネタリウム実習の様子

プラネタリウム実習の様子

 

日が沈んだ後には、屋上にて望遠鏡実習が再開されました。晴天の場合には、望遠鏡を用いてさまざまな天体の観測を参加者各自が行うことを予定していました。しかし、昨年に引き続いてあいにくの曇天であったため、まず地上の目標を用いてファインダーを合わせることを練習し、次に屋上に設置したディスプレイ上の星空を観測してIOAAに準じて制作された問題に解答するという形式で、観測実習を行いました。

望遠鏡実習後、参加者は平塚市内の宿泊場所へ移動し、研修1日目は終了しました。

2日目にはまず、IOAAでのポスターコンペティションを見据え、アカデミックなポスターを制作する上での注意点やアドバイスについて塚田から講義を行いました。特に、前年度のIOAAで実際に発表された各国のポスターを参照しながら、見やすいデザインや配色、見る人の興味を引く内容などについて理解を深めました。

次に、前日に行われたプラネタリウム実習・望遠鏡実習で出題された問題の解説を行いました。その解き方だけでなく、問題の背景知識、実際の答案作成における注意点を説明しました。また、IOAAでの実技試験に向けて、星座や望遠鏡などに関する知識を詳細に解説しました。

 

2日目の講義の様子

2日目の講義の様子

 

その後、天体の位置計算に関して委員の下河邊から講義を行いました。こうした球面三角法などに関連する話題は、日本の高校教育ではほとんど扱われないものの、IOAAでは頻出のトピックとなっています。本講義では、地平座標系・赤道座標系などの座標系や、恒星時・太陽時などの時間系の定義やその相互変換について解説し、そうした知識を用いて問題を解く上での実践的な手法についても説明しました。

最後に、参加者と委員によるライトニングトークを行いました。「天文」を共通のテーマとし、参加者6名とスタッフ2名が発表者となって、それぞれが興味のあるトピックについて1人5分程度で自由に発表しました。参加者は、過去に天文に関するイベントで取り組んだ課題や、関心がある分野について自分で調べた内容など、幅広い話題にわたって発表し、スタッフはそれぞれが専門とする天文に関連する分野を紹介しました。

2日間という短い期間でしたが、IOAA2024 に向けた講義と実習を通して選手同士の仲も深まったようです。8月の IOAA2024 も応援よろしくお願いいたします。

協力団体について

株式会社ビクセン

天体望遠鏡、双眼鏡、顕微鏡、フィールドスコープ、ルーペなどの設計、製造を行う光学機器メーカー
URL: https://www.vixen.co.jp/


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