国際天文学・天体物理学オリンピックとは
国際天文学・天体物理学オリンピック(International Olympiad on Astronomy and Astrophysics, IOAA)は、国際科学オリンピックの一つで2007年に第1回大会が開催されました。大会開催年の7月1日時点で20歳未満でかつ、大会開催年の1月1日以前に12年間の中等教育を修了していない生徒を対象とした大会です。2022年8月にジョージアのクタイシで開かれた第15回国際天文学・天体物理学オリンピックには、37のメインチーム、6のゲストチーム、6のオンラインチームが参加しました。
また2022年からは、16歳未満の生徒のみを対象とした国際天文学・天体物理学オリンピックジュニアも開催されています。
日本代表生徒の派遣は長らく行われていませんでしたが、2022年に天文学分野の科学オリンピックへの日本代表の派遣を目的に日本天文学オリンピック委員会が発足し、国際天文学・天体物理学オリンピックの運営組織とコンタクトを取ることができ、2023年8月にポーランドのホジュフで開催された第16回国際天文学・天体物理学オリンピックに、日本からは初となる代表団(構成:生徒5名、チームリーダー2名)を試行的に派遣しました。

2024年以降も引き続き日本代表団を派遣しており、2025年の第18回大会で、金メダルを2名、銀メダルを2名、銅メダルを1名が獲得するなど、日本代表生徒たちは優れた成績を収めています。

競技内容について
IOAAには理論試験・実技試験の二部門があり、実技試験は複数のラウンドに分けて実施されます。なお出題範囲は、IOAA Syllabusに定められています。
以下では各試験・ラウンドの概要を説明します。なお試験時間・配点などは、年により多少の差が見られます(下記での説明はIOAA2025でのものです)。
理論試験
理論ラウンド
理論ラウンドは、天文学、天体物理学に関する知識や思考力を問うもので、試験時間は5時間です。出題範囲は幅広く、前半に基礎知識を問う小問集合が10問前後、後半に実際の研究をもとにした大問が3問程度あり、両者の配点はほぼ等しくなっています。最初の小問は選択式のものであることもあるが、大半が記述式の問題です。
後半の大問では、天文学の時事に関する問題や、ホスト国の天文学の研究や宇宙開発に基づく問題が頻出です。近年は宇宙論に関する問題が多く出題される傾向もみられます。グラフなどの読み取りや、問題で与えられた説明をもとに受験者が未習であろう式などを使い解を導くことが求められ、高度な思考力が問われているといえるでしょう。
実技試験
実技試験は筆記によるデータ解析ラウンド、望遠鏡や眼視による観測ラウンド、眼視によるプラネタリウムラウンドからなります。配点は理論試験と同じく300点です。
データ解析ラウンド
データ解析ラウンドでは、実際のデータを題材として、研究の過程でもよく出てくる解析が出題されます。年によって異なりますが、概ね2〜3つの大問からなり、配点は150点です。理論ラウンドに比べ計算式が複雑である、問題文が長く小問数が多いといった特徴があり、作図やグラフの取り扱い能力などが重要となります。例年、20から30個程度の要素からなる表をもとにして解答する問題が出題されており、与えられた情報を丁寧かつ素早く処理する力が求められているともいえるでしょう。
観測ラウンド
観測ラウンドでは、望遠鏡を用いた観測や星図の読み取りなどが出題されます。近年、望遠鏡を用いる際には、雲の位置などによって有利不利が出ないよう、ドームなど屋内施設の天井に星空を投影してそれを観察する形式で行われることも多いです。
プラネタリウムラウンド
プラネタリウムラウンドでは、プラネタリウム内において、主に眼視による観測を行います。配点は、観測ラウンドと合わせて150点です。
過去のIOAA
開催時期・開催国・地域
| 回 | 開催年 | 開催日 | 開催地 | 開催国・地域 |
|---|---|---|---|---|
| 1 | 2007 | 11/30〜12/9 | チェンマイ | タイ |
| 2 | 2008 | 8/19〜8/28 | バンドン | インドネシア |
| 3 | 2009 | 10/17〜10/27 | テヘラン | イラン |
| 4 | 2010 | 9/12〜9/21 | 北京 | 中国 |
| 5 | 2011 | 8/25〜9/4 | クラクフ、カトヴィツェ、ホジュフ | ポーランド |
| 6 | 2012 | 8/4〜8/13 | リオデジャネイロ、ヴァソラウス | ブラジル |
| 7 | 2013 | 7/27〜8/4 | ボロス | ギリシャ |
| 8 | 2014 | 8/1〜8/11 | スチャバ グラフモールルイ | ルーマニア |
| 9 | 2015 | 7/26〜8/4 | マゲラン | インドネシア |
| 10 | 2016 | 12/9〜12/19 | ブバネーシュワル | インド |
| 11 | 2017 | 11/12〜11/21 | プーケット | タイ |
| 12 | 2018 | 11/3〜11/11 | 北京 | 中国 |
| 13 | 2019 | 8/2〜8/10 | ケストヘイ | ハンガリー |
| 14 | 2021 | 11/14〜11/21 | ボゴタ [ハイブリッド開催] | コロンビア |
| 15 | 2022 | 8/14〜8/21 | クタイシ [ハイブリッド開催] | ジョージア |
| 16 | 2023 | 8/10〜8/20 | カトヴィツェ | ポーランド |
| 17 | 2024 | 8/17〜8/27 | ヴァソウラス | ブラジル |
| 18 | 2025 | 8/11〜8/21 | ムンバイ | インド |
日本代表の成績
| 回 | 年 | 参加人数 | 金 | 銀 | 銅 | 優良賞 | 備考 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 16 | 2023 | 5 | 1 | - | 1 | 1 | 金メダルの1名は総合3位 |
| 17 | 2024 | 3 | - | 1 | 1 | 1 | |
| 18 | 2025 | 5 | 2 | 2 | 1 | - | 金メダルうち1名は総合2位・データ解析試験1位 |
派遣報告書
- 2022年 第2回国際リモート天文学オリンピック(第26回国際天文学オリンピック)
- 2023年 第16回国際天文学・天体物理学オリンピック
- 2024年 第17回国際天文学・天体物理学オリンピック
- 2025年 第18回国際天文学・天体物理学オリンピック